本能のままにボールに飛びついた。2―2でもつれ込んだPK戦。GK櫛引政は1本目で 判断良く左へ跳んで好セーブ。これで勢いに乗ると、2本目は右に跳んでブロック。 3、4本目はゴールを許したが、止めれば勝利が決まる5本目は再び右に跳んでゴールを 死守し決勝を手繰り寄せた。 勝利が決まると前方宙返りで大喜び。「気付いたら跳んでた。自分の中で落ち着いて リラックスできていた。青森の歴史を塗り替えられたことは大きい。あとはメダルの色を 金色に変えたい」。勝利の味をかみしめた。 想定外のPK戦だった。FW野間とMF椎名の得点で後半44分まで2―0でリードしていた。 だが、後半44分に失点すると、ロスタイム突入1分後にはまさかの同点弾を被弾。 わずか2分間で状況が一変した。 櫛引政は、昨夏の全国高校総体2回戦神村学園戦のPK戦では1本も止められずに 5―6で敗れた。その悪夢も脳裏をよぎったが、焦りはなかった。全国高校総体後は、 流通経大柏のコーチ時代に林彰洋(現イングランド2部プリマス)を育てた湯田GKコーチ とともにPK特訓に着手。キッカーの助走から蹴るコースを読む訓練を積み、距離の出る 跳び方を研究した。湯田コーチは「キッカーの助走の角度から蹴りやすい方向を読めと 言ってきた。跳び方も一番手が伸びる高さを研究してきたので」と二人三脚で取り組んで きた練習の成果を強調した。 黒田監督は「最後は(櫛引政が)止めてくれるとみんなが信じた結果。油断せずにチームを 立て直して決勝に臨みたい」と青森県勢初の決勝に視線を移した。櫛引政は「また気持ちを 切り替えてやりたい。今度はゼロで守り切りたい」と完封宣言だ。 今大会屈指の司令塔として注目を集めていたMF柴崎に続くニューヒーローの出現。 攻守で安定感を見せる青森山田が一気に頂点まで駆け上がる。 ソースは PK戦を制して前方宙返りで喜ぶ青森山田GK櫛引政敏に駆け寄るイレブン
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